DoorDash、自社開発ドローン配送「DoorDash Air」始動 FAA認可取得

米フードデリバリー大手DoorDashは、独自開発のドローン配送サービス「DoorDash Air」を発表した。米連邦航空局(FAA)から商用ドローン配送に必要な「Part 135」航空運送事業者認可を取得し、今秋にも実際の配送を開始する見込みだと報じられている。
この認可を取得したのは、Wing(Google系)やAmazonのPrime Air、Flytrexなどに続き、これまでで8社目とされる。DoorDashはこれまでも一部地域でパートナー企業と組んでドローン配送を行ってきたが、今回は機体からインフラまでを自社で手がける点が特徴だ。
配送ロボット「Dot」と同じチームが開発
DoorDash Airの機体やシステムは、配送ロボット「Dot」も手がけるDoorDash Labsのロボティクス・自律走行チームが開発した。責任者のHarrison Shih氏はコメントで次のように述べている。
「地上のインフラから機体そのもの、受け渡しの仕組みまで一貫して開発することで、あらゆる加盟店・あらゆる場所でドローン配送が機能するようにしたい」
なぜドローンなのか 3〜5マイル配送の遅れが課題に
DoorDashによると、昨年の全注文のうち20%以上が3〜5マイル(約5〜8km)圏内の配送だったが、こうした中距離の注文は担い手のドライバーが見つかりにくく、より近距離の配送に比べて完了までの時間が約25%長くかかっていたという。ドローンにこうした中距離注文の一部を任せることで、ドライバーは短時間で完了できる近距離配送に集中でき、結果的に稼働効率や収入向上にもつながるとしている。
他社ドローンとの併用や配送手段の自動選択も
DoorDashは、機体は米国内で設計し、部品の大部分も米国製だとしている。今後は自社開発の「DoorDash Air」に加え、既存のパートナーであるWingやFlytrexとの協業も継続する方針だ。注文ごとに人によるドライバー、ドローン、配送ロボット「Dot」の中から最適な配送手段を選ぶ「自律配送プラットフォーム」の運用も進めるという。
エンタモ編集部の視点
機体からインフラまで自社で手がけるDoorDashの姿勢は、ドローン配送が「実験」から「事業」の段階へ移ったことを示す。FAA認可を得た8社目という事実は、この分野の競争が本格化していることの証だ。
ラストワンマイルを巡る技術競争
フードデリバリーの利益を圧迫する最大の要因は、配達員に依存する「ラストワンマイル」のコストだ。ドローンや配送ロボットで自動化できれば、コスト構造は根本から変わる。DoorDashが自社開発にこだわるのは、この領域を制する者が業界の主導権を握ると見ているからだろう。空を使った配送が日常になるかどうかは、技術だけでなく、騒音や安全性への社会の受容度にもかかっている。
ドローン配送は、技術より制度が律速になっている
記事に出てくる「Part 135」は、米国で有償の航空運送を行うための事業者認可です。ドローンで商品を運んで対価を得る場合、そして操縦者の目が届かない範囲まで飛ばす場合に必要になります。
取得は簡単ではありません。運航の手順書、機体の整備体制、操縦者の訓練の仕組みを整えたうえで審査を受けます。飛ばせる技術があることと、飛ばしてよい資格を持つことは別だということです。
だから「これまでで8社目」という数字が意味を持ちます。ドローンを作れる会社はもっと多い。それでも認可まで到達したのが8社という状況は、この分野で先に進むための障壁が、機体の性能ではなく制度の側にあることを示しています。機体からインフラまで自社で手がけるという今回の姿勢も、その全体を自分で通すという判断だと読めます。
出典:Engadgetより。翻訳・要約はエンタモ編集部。