『スパイダーマン:ブランニューデイ』謎の悪役4人の正体を解説

画像:Movie set of Spider-Man Brand New Day (2025) (5)/S. Perquin(BY-SA 4.0) / 出典 / ライセンス(本文の内容と直接の関係はないイメージ画像です)
映画『スパイダーマン:ブランニューデイ』の冒頭には、スコーピオンとの対決につながる伏線として、ピーター・パーカーが複数の悪役と戦うシーンが登場する。このシーンには合計5人のヴィランが登場するが、セリフがあったのはスコーピオンを含む一部のみ。残る4人については素性がほとんど語られないまま画面から姿を消してしまう。実はいずれもマーベル・コミックスで長い歴史を持つキャラクターで、原作を知ると映画で描かれなかった背景が見えてくる。
ビルからスパイダーマンを吊るした怪力の男「トゥームストーン」
マーヴィン・ジョーンズ3世が演じたのは、白皮症の超人的なギャングスター、トゥームストーンことロニー・リンカーン。1988年の「Web of Spider-Man」#36で初登場した犯罪組織のボスで、怪力とタフネスを武器にスパイダーマンを脅かす存在だ。原作では新聞社デイリー・ビューグルの幹部ロビー・ロバートソンへの恨みが対立の軸になっているが、ロビーはまだMCUに登場していないため、映画でこのエピソードがそのまま描かれる可能性は低いとみられる。なお、ジョーンズ3世は『スパイダーマン:スパイダーバース』でも同キャラの声を担当していた。
元プロ野球選手の暗殺者「ブーメラン」とは
黒と白のコスチュームでブーメランを操っていたのはフレッド・マイヤーズことブーメラン。1966年の「Tales to Astonish」#81で初登場した際は、プロ野球選手としてのキャリアを棒に振り犯罪者に転じたオーストラリア人という設定で、当初はハルクの敵として活躍していた。1979年の「Marvel Team-Up」#67以降はスパイダーマンの宿敵として定着し、悪役チーム「シニスター・シンジケート」の主要メンバーにもなった。超能力は持たないが、投擲の技術に特化した点はホークアイに近い存在といえる。
マイナー悪役「ラムロッド」が起用された理由
金属の頭部で壁を突き破る姿を見せたラムロッドは、映画に登場した中でも特に無名なヴィランだ。本名は現在も明かされていない。1971年の「デアデビル」#103で初登場し、石油採掘の作業員だった一般人がタイタン(サノスの故郷)のテクノロジーによってサイボーグ化されたという設定を持つ。主役級として登場したのは1981年の「The Amazing Spider-Man」#221のみで、映画のバトルシーンはこの号の表紙を意識した演出になっているとみられる。マイナーな存在ながらオープニングであえて起用された点が注目される。
エンタモ編集部の視点
セリフのない4人の悪役に、これだけの原作背景が仕込まれている点こそ、マーベル映画がファンに用意した「読み解く楽しみ」だ。一度観ただけでは通り過ぎてしまう数秒に、数十年分のコミック史が凝縮されている。こうした仕掛けは、映画を一過性の娯楽から「何度も語り合える対象」へと変える。エンタモとしては、映画本編で描かれなかった背景こそ、作品をより深く味わう入り口だと考えたい。
セリフのない悪役を画面に置く、という手法
名前も語られず、数十秒で退場する。それでも原作に登場する既存のキャラクターを使う。この配置には、はっきりした意図があります。
利点は、物語の進行を止めずに世界の広さを示せることです。説明を入れれば尺を食い、本筋のテンポが落ちます。何も説明しなければ、知らない人には単なる悪役の一人として流れ、知っている人には発見になる。同じ場面が、観客によって別の情報量を持ちます。
ただし加減が要ります。多用すると、原作を知らない観客に置いていかれた印象を与えます。分からない要素が積み重なると、作品全体が内輪向けに感じられる。今回のように冒頭に短く置くのは、その線を意識した配置だと読めます。本筋が始まる前なら、分からなくても物語の理解に影響しないためです。
出典:ScreenRantより。翻訳・要約はエンタモ編集部。