豪ARIAチャートがAI楽曲を除外へ マドンナのカバーが発端

AIで作られた曲をランキングにどう扱うか。答えを出した国が現れました。注目すべきは「AI禁止」ではなく、どこで線を引いたかという部分です。基準と、そこに至った経緯を整理します。
線引きは「全部」か「補助」か
除外されるのは完全にAIで生成された楽曲です。制作の過程でAIを使うこと自体は禁じられていません。
対象に残るための条件として示されているのが次の三つです。
- 人が作曲していること
- 主旋律の歌唱を人が行っていること
- 主要な楽器演奏を人が行っていること
禁止ではなく、資格の話
この決定はAI楽曲の配信や販売を止めるものではありません。チャートに載る資格と、賞の対象になる資格を定めたものです。
曲は自由に出せるが、ランキングという場所には人の関与を条件にする。制度としての立て付けはここにあります。
きっかけはマドンナのカバー
発端は、クイーンズランド州のDJでプロデューサーのジョシュ・ファワズ氏による「Like a Prayer」のカバーでした。この曲は7月にオーストラリアのラジオで最も多く流れた曲となり、ARIAの二つのチャートで4位に入っています。
ラジオのエアプレイ・チャートでは4週連続で首位、Spotifyでの再生は7月時点で3800万回を超え、8月下旬の報道では4800万回に達しています。
その後、ABCの取材を受けて、Spotifyのクレジットが更新されます。ボーカルとドラムにAIを使っていたことが明記されました。同氏はそれまでAIの関与について詳しく語っておらず、後に制作の様子を紹介する動画で、生成AIのSunoを使っていたことを示しています。
この決定が難しい理由
線を引くこと自体は決まりましたが、運用は簡単ではありません。楽曲を聴いてAIの関与を判別することは、現状では困難です。今回も発覚したのは報道機関の取材によるものでした。
つまり制度は申告に依存します。申告しなければ通ってしまう、という穴は残ります。それでも基準を先に示しておけば、後から判明したときに取り消す根拠になる。今回の決定は、その根拠を用意した段階だと考えるのが実際に近いでしょう。
日本でも同じ議論はこれから来ます。オーストラリアが先に文章にしたという事実は、参照される可能性が高いはずです。
エンタモ編集部の視点
この決定の要点は「AI禁止」ではなく、どこで線を引いたかにあります。作曲・主旋律の歌唱・主要な楽器演奏を人が担うこと。ただし運用は申告に依存するため、穴は残ります。それでも基準を先に文章にしておけば、後から判明したときに取り消す根拠になる。日本で同じ議論が来たとき、まず参照されるのはここでしょう。
出典:オーストラリア放送協会(ABC)、ロイター、Rolling Stone Australia の各報道。構成はエンタモ編集部。