GRRマーティン近況報告『七王国の騎士』エミー9部門ノミネートに喜び

画像:“The septons preach about the seven hells. What do they know? Only a man who's been burned knows what hell is truly like.” ―Gregor Clandane/anokarina(BY-SA 2.0) / 出典 / ライセンス(本文の内容と直接の関係はないイメージ画像です)
『ゲーム・オブ・スローンズ』原作者ジョージ・R・R・マーティンが自身のブログ「Not A Blog」を更新し、近況を明かした。待望の新作小説『冬の狂風(The Winds of Winter)』についての進展報告はなかったものの、スピンオフドラマ『七王国の騎士』がエミー賞2026で最多クラスとなる9部門にノミネートされたことを喜びのコメントとともに報告している。
ブログ更新は「側近」任せ、本人の投稿は半年ぶり
マーティンは8月3日付の投稿で、2026年に入ってからブログ自体は更新され続けていたものの、自ら筆を執ったのは2月19日が最後で、それ以降は「頼れる側近たち」が更新を担っていたと明かした。アシスタントの助けを借りてもなお執筆が追いつかない現状を率直に語っている。
また77歳を迎えたことに触れ、加齢による困難や、友人との別れ、「悲しみとうつと闘ってきた」ことにも言及。「最悪の事態はこれからかもしれない」との言葉も残しており、ファンにとっては心配な内容となった。
『七王国の騎士』エミー9部門ノミネートを喜ぶ
そんな中、マーティンが唯一明るいニュースとして取り上げたのが『七王国の騎士』のエミー賞候補入りだ。本人はブログでこう綴っている。
「2026年のエミー最終候補が発表され、『七王国の騎士』は最優秀ドラマ賞を含む9部門でノミネートされた」
授賞式は9月14日(月)、ロサンゼルスのピーコック・シアターで開催予定。マーティン自身も出席を望んでいるが、体調面などの事情次第としている。同作はマーティンが製作総指揮・脚本として深く関わっており、原作「ダンクとエッグ」シリーズの世界観に忠実な仕上がりが評価されている点も、彼の高評価につながっているとみられる。
『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』には一切触れず
一方、同じ週の日曜にHBO Maxで最終回を迎えた『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』については、今回のブログで一切言及がなかった。マーティンは過去に同作の脚本方針を批判する投稿を行ったこともあり(後に削除)、今回の沈黙にも注目が集まっている。
エンタモ編集部の視点
新作小説の進展報告がないまま、スピンオフドラマのエミー9部門ノミネートを喜ぶマーティンの姿には、原作者と映像化作品の複雑な関係がにじむ。本編小説を待つファンの心境は複雑だろうが、世界観そのものが評価されている事実は揺るがない。
「完結を待つ」時代のファンとの向き合い方
執筆が追いつかない現状を率直に語るマーティンの誠実さは、長期にわたる創作の難しさを物語る。一方で、原作が未完でも映像化された世界は独自に評価され、賞を獲得していく。これは、巨大な物語世界が原作者一人の手を離れて生命を持ち始めた証でもある。ファンは新作を待ちわびつつ、映像化作品でその世界を楽しむ——創作の完結を待つという体験そのものが、現代のエンタメの一つの形になっている。
未完の原作と、完成した原作では、映像化の難しさが違う
『氷と炎の歌』の本編は、いまも完結していません。それにもかかわらず、ドラマは先に結末まで進みました。原作という設計図が途中で尽きた状態で、映像側だけが終わりを作ることになったわけです。終盤の評価が割れた理由の一端は、ここにあります。
一方、今回9部門にノミネートされた『七王国の騎士』は、事情が違います。原作が既に完結した中編集だからです。話の始まりも終わりも決まっていて、その中で映像化の判断だけをすればよい。
同じ世界を扱っていても、この二つはまったく別の難しさを持つ仕事です。評価が出やすい構造にある、という言い方もできます。作者本人が本編の進捗に触れないまま、この作品の受賞について語っているという状況も、その差を静かに示しているように見えます。
出典:Polygonより。翻訳・要約はエンタモ編集部。