テスラ最新決算、増収も利益率1.4%に急落 AI投資が重荷

テスラが2025年第2四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比26%増の282億ドルと好調だったが、コストの増加が利益を圧迫し、これまで二桁を保ってきた利益率はわずか1.4%まで落ち込んだ。売上は伸びているのに儲けは減っているという、少し意外な結果になっている。
EV事業は好調も、規制クレジットは消滅
電気自動車(EV)事業の売上は205億ドルで前年比23%増と堅調だった。一方、これまでテスラの利益を支えてきた自動車規制クレジットによる収入はわずか1.46億ドルにとどまった。このクレジットは2025年にマスク氏の同意のもとアメリカで廃止されており、業績への追い風がなくなった形だ。
好調だったのはエネルギー・蓄電事業(前年比13%増、31億ドル)と、サービス部門だ。サービス部門は売上が倍増し46億ドルとなった。これには批判の多い先進運転支援機能「FSD」が買い切りからサブスクリプション型に移行したことが大きく影響しているという。
営業費用47%増、キャッシュフローは赤字に
問題は費用面だ。営業費用は前年比47%増の44億ドルに膨らみ、営業利益は57%減の3.98億ドルまで縮小した。最終的な純利益は11億ドルを確保したものの、前年同期比では5%の減少となった。
さらに資本支出は142%増の58億ドルに達し、フリーキャッシュフローはマイナス11億ドルに。前年同期からは848%の悪化だが、前年もほぼゼロに近い水準だったため、実質的には投資拡大がそのまま資金繰りを圧迫した格好だ。投資関連でも12億ドルの損失を出している。
注力先はクルマではなく「AI」
売上の主軸はEV・エネルギー事業であるにもかかわらず、テスラの投資はヒューマノイドロボットやロボタクシーの拡大など、AI関連に集中している。決算資料では、ヒューマノイドロボットの量産を年内に開始する見通しと説明された。
ロボタクシー展開は「主要7都市で計画通り」
とされる一方、少なくとも1都市はカリフォルニア州当局の許可が必要で、同州はアリゾナやフロリダ、ネバダ、テキサスに比べて規制が厳しいことも指摘されている。テキサス州ではロボタクシーの事故が相次いでいるとも報じられており、事業拡大の道のりは平坦ではなさそうだ。
エンタモ編集部の視点
売上が26%伸びて利益率が1.4%まで落ちる、という数字の並びが要点です。原因は二つあり、片方は費用の増加、もう片方は規制クレジットの消滅。後者は事業の実力とは別のところで支えられていた利益が、無くなったという話です。ここを分けて読まないと、業績の評価を誤ります。
規制クレジットとは何だったのか
決算に出てくる自動車規制クレジットは、排出量の基準を満たせない他社が、基準を上回っている会社から購入する仕組みです。電気自動車しか作っていない会社は基準を大きく上回るため、売る側に回ります。
この収入には特徴があります。車を作らなくても発生するということです。原価がほとんどかからないため、売上のほぼ全額が利益になります。長いあいだ、この会社の黒字はここに支えられてきました。
その仕組みが2025年に米国で廃止されました。今回の決算でクレジット収入が1.46億ドルにとどまっているのは、その結果です。前年まであった追い風が消えた状態で、初めて本業だけの数字が見えている、という見方ができます。
サービス部門の売上が倍増している点も、あわせて読む価値があります。運転支援機能が買い切りから月額に移ったことが要因とされており、一度きりの売上を継続的な収入に置き換える動きです。クレジットという外部の支えを失ったあと、何で埋めるのかという問いへの答えが、ここに出ています。
出典:Ars Technicaより。翻訳・要約はエンタモ編集部。